fygar256の俳句

オンライン句集 「猫に餌」

俳句5

寸取りに寸を取られて背が縮む
索麺流し下流の方で奪い合い
今生は苦しみなりや合歓の花
占いに凶相多し炎天下
優しさを求め彷徨う夜光虫
毛虫焼く焼いたのひとつ五十円
サボテンは棘のありても平和主義
ハイビスカス真紅に空を吸いこめり
山道や今日も大工の三尺寝
フロリダの蜥蜴捕まえ喉膨れ 毒があるやも知れんと放す
夜な夜なに西瓜食い魔の現れり
虚無僧のサックス吹きて夏暑し
夏暑しハムスターのとろけ具合
川開き肝取る河童川流れ
時計草無限に続く円周率
ボンボーズ木魚ビートにノリノリだ
縁切れた人より便り暑中かな
薄衣着て人見知りする女性
訪れし螇蚸(バッタ)一夜で飛び立ちぬ
安眠や蛙を抱く蓮の花
秋思かな歌を忘れたカナリア
秋思符や憂い齎すサティかな
良心市買えとばかりに秋なすび
瓢生る下着着せたき括れかな
担当はパーカッションのけらつつき
猛る火の父の気性や魂迎へ
捨案山子野良俳人のラプソディー
秋茄子を食わす嫁さん募集中
星一つ流れて海に夜光虫
夫喰みて孤独極むる女蟷螂
永の字に込める一念硯洗ふ
硯洗ふ亡父に届く文芸誌
山の端や墓地に導く曼珠沙華
秋の宿鯔の刺し身と岩の風呂
おケラ鳴く軽き財布に吾も泣く
虎になる詩人秋の夜涙する
桔梗屋よお主もかなり悪よのう
過ぎ去りし時代を喰わん二十世紀
稔り田に頬のほころぶ農夫かな
稲雀チチチと逃げて虎視眈々
秋の蟻砂糖をちょっと分けてやる
気を付けろ猫が秋刀魚を狙ってる
舞茸は栄養あるぞ参ったけ
稲扱機派手に散らかる籾の殻
老いの字を嫌がる母の敬老日
白鳥座空に大きな鳥が舞う
コスモスやサンドイッチとスニーカー
チャルメラや闇夜の黒猫秋最中
旭日の逆光に映ゆ花芒
美しく歳をとりたし銀芒
捨て案山子恨めしそうにこちら向く
秋彼岸優しい人が好きよとか
蓑虫や浮世離れてぶらぶらり
彼岸花墓地墓地行こか長い旅
コスモスの揺れているのは触れたから
竈馬無害なれどもキンチョール
この林檎香りええねと母の言う
秋風にひらりスカートキャーエッチ
病身の母の買い来し栗赤飯
蛤や元の雀に戻りたし
秋霖や幸(さち)と言わねばなるまいか
一の字の莫山先生雁渡る
ばあちゃんの神棚に置く松ぼくり
古物屋の窓に置いてる松ぼくり
秋うらら猫でも一句詠みにけり
黄昏のジーンズ穿いた秋のひと
色変えぬ松を見つめるお爺さん
霜降や賽銭ほどの金はあり
新豆腐早く食わねば旧豆腐
無愛想なオッサンの売る美味い柿
念一字歩みの堅き秋遍路
毒茸食える顔して生えており
小寒寝間着上下の女の子
仏掌薯(つくねいも)粘り粘って意地通す
ややあって仏掌薯出る山の家
行く秋や自慢のボディー隠れがち
吉引きて病癒えると吾亦紅
冬うららこんにチワワと犬挨拶
冬銀河自由に描く星座かな
幸せの遠く近くと揺れる燗
冬薔薇棘も愛してしまへれば
鱈ちりの湯気やはらかに老夫婦
寝てみたしふくら雀の羽根蒲団
冬山にそうなんですよ救助犬
裸木は恥ずかしいので下着穿く
割腹の血の行く末や憂国忌
角巻の端に縫い付く刺繍かな
大蕪抜けて目出度しうんとこしょ
河豚鍋や癖になるのは毒のせい
眠剤と時計の針や冬寒し