fygar256の俳句

オンライン句集 「猫に餌」

俳句6

めでたさのみっつばかりの雑煮膳
秋興や猫には餌をあげませう
キセキレイ猫におはようございます
雪道や猫の喜ぶキセキレイ
冬銀河渡ればそこに夢のあり
紙漉や水の綺麗な母の里
冬の夜の帳に溶ける烏かな
採血のナース優しき春心地
憂ひあり友が菜の花持ち来たり
一輪の梅に命を傾ける
入れ歯落ちわひゃあまらまら若ひ春
酒蒸しにせんかと怒る鬼浅蜊
儂も歳耕耘機でもしんどいわ
猫が好き?問うおばさんの春うらら
近所にて火事の老婆の杳として
サクラサクエア東大に合格や
春雨や褌取って大いばり
春寒しケツは元々割れとるわ
さくら花好きで始まる花占い
倍返し零は零なりホワイトデー
賽銭の足らず小吉春神社
幾年(いくとせ)も病重ねて蜷の道
鬼母の猛り狂うや春の闇
挿木せし桜根付けと絵馬を書く
公園にもう暑いねと尉鶲
眠たしや蛙が目ぇを借りに来る
お母さん桜がちっと咲いちゅうで
祖母の墓草茫々の彼岸かな
妹のシュシュの可愛や風光る
失くされた時を求めて月朧
花冷えや母の背中の丸き事
花薺ペンペン草と呼ばないで
春休み食う寝る遊ぶ女学生
名残雪別れにキスを一度だけ
狼が来たぞ元気に四月馬鹿
蛙釣り大人になって訪(と)う小川
青麦畑風の波紋を映しけり
芽柳や今日もややこを胸に抱き
春光や幟はためく海辺町
ペンペン草ハートだらけの浮気者
無防備に純潔曝す白躑躅
息潜め寄れば散る蝌蚪残る蝌蚪
雨音を聞きつつ啜る浅蜊
静けさを更に深めるアヤメかな
今年また季節は巡り白詰草
翻りまたひるがえり熱帯魚
いつ迄も枯れぬ悲しみ水中花
背比べ粽ベタベタ兄さんが
グラビアを飾る水着の白眩し
蝸牛家出をしては蛞蝓に
ベランダの雀に米を愛鳥日
卯波立ちまた崩れ行く輪廻かな
守宮出た母大騒ぎ月光る
病み疲れ今鳩の巣に帰りたし
クーラー点け布団を被る贅沢さ
マンションの規則正しい夏灯
軽鳧の子の列を外れるやんちゃをり
五月闇野良俳人のラプソディー
時流れ友の流れて走馬灯
捨てられし傀儡に吹く初夏の風
マスク美人外しがっかり走り梅雨
世の中は厳しおまんな青葉木
病葉は落ちる定めか天の泣く
故郷に来てと誘ふ子泥鰌
薄衣人見知りする女性かな
梅雨晴間日切り地蔵の達磨の目
電線の雀やかまし夏来たる
幸再来誕生日には鈴蘭を
四十雀男盛りは五十から
枝咥え海を埋めんと四十雀
お気楽なおばちゃん着てるアッパッパ
暑いわね近寄らないで恋の距離
六月や徒然蝦の瓶掃除
靴箱に入れる恋文青葡萄
失いし夢美しく夏の海
時の日やずれた時計の行き違い
小悪魔の魅力溢れし木下闇
糸蜻蛉楽譜の上に小音符
蟇我が身を嘆き蝶を喰ふ
野良猫の息子に母は鯵一尾
青鷺の骨格顕わにして太し
世を忘れ眠り通せし夜長かな
懊悩を自ら断ちし桜桃忌
西瓜食ふ猫西瓜食ふ猫が食ふ
寝冷えせど儂アホやから風邪引かん
極楽の出来初めなる浮葉かな
本に黴読むも捨てるも躊躇ひし
扇風機必ず横に首振れり
寝る女裸体の上に蜘蛛這わす
寂寥の夜の友達青葉木
はんざきの痛み知る者吾独り
蛸飼えば墨水槽に吐き自滅
怒りとは女のまたに下心
台風や七号去ってまた八号
水打ちてやの字に掛かりなんやねん
星流れ占星術の破れけり
蟷螂の斧と雖も指を切り
買へ買へとふたつ並びし南瓜かな
春の雷千年杉を割りにけり
キャンバスと園に秋色老いし画家
非正則恒等置換阿弥陀
禍は言葉にならず曼珠沙華
ばあちゃんの墓も知らずや秋彼岸
メビウスの輪でおもてなしうらない師
紫蘇の実の塩懐かしき母の里
秋風や猫えんじ色エンジニャー
辛の字も時に必要唐辛子
食べられる赤く可愛いタマゴタケ
便箋に涙したため冬来る
次の世は人になりたし大海鼠
これ以上強い酒なしエタノール
鎌鼬吾が心臓を裂くがよい
七五三等差数列次は一
ヤー・チャイカ早く地上に帰りたい
焼藷の値段にたまげ神棚に
鋤焼や考(ちち)の肉食えの追憶
痛切に虚しき冬の一人酒
チャイム鳴り暖炉の上に紅茶置く
河豚の毒当たりて瀕死夢三途
霜月の虫喰寺の跡地かな
冬の夜遅くぶぶ漬けどうどすか
セーターの縦のラインの曲線美
大雪にお大切にと日を迎ふ
悲しき句詠んでは消すやけふ冬至
ふと見れば餅の数切れ年用意
幾日も続かぬ思ひ日記買ふ
煩悩の百八センチ胴回り